■中小企業診断士試験・1次試験 講評
同友館・これ短講師室による、2011年中小企業診断士試験・1次試験の講評です。
総評 │ 経済学・経済政策 │ 財務・会計 │ 企業経営理論 │ 運営管理
│ 経営法務 │ 経営情報システム │ 中小企業経営・政策
【総評】
昨年(平成22年)よりは、やや易化したが、やはり合格するには歯ごたえのある科目が続いた。
昨年の経済学・経済政策のように、圧倒的に難易度の高い科目はなかったが、その分、圧倒的に平均点が高くなる科目もなかった。つまり科目間のバラつきは少なく、バランスの良い出題であったのではないか。
合格のためには、不得意科目を得意科目でカバーするよりも、全科目で6割前後を確保し、合計で420点超えを狙う必要があった。
科目ごとの評価は後述するが、経済、財務、中小の難易度は少し高く、法務、情報の難易度は少し低かった。
【経済学・経済政策】
昨年の経済学の科目合格率は6%であり、本年度は難易度の低下が予想されていた。予想通り、昨年より難易度は低下したが、それでも、一昨年以前の難易度までは低下しなかった。
1科目目から、苦労された受験生は多いのではないだろうか?
マクロ経済学の分野では、標準的な内容の出題が多く、ミクロ経済学では難問が多めであった。また、取り組みやすい問題とそうでない問題の差が大きかったと考えられる。
計算問題は微積を行うような問題は出題されていない。
やはり基本的な計算やグラフの読み取りに対応していくことが、科目合格へ繋がる。
【財務・会計】
財務会計は、近年は難易度が高止まり気味である。そういった意味で、今年も本試験は例年通りで、標準的な出題であった。対応が困難な難問もあり、圧倒的な高得点の確保は難しかったが、その分、基本的な問題も多く、50点前後の平均点になるのではないだろうか。
会計分野は、簿記を筆頭に比較的難易度が高かった。やはり、用語の定義の理解、例えば連結財務諸表に関する会計基準や退職給付に関する会計基準などは対応が難しい。その分、ファイナンス分野は経営分析など基本的な問題が多かった。
そのため後半の問題から対応していくなどの工夫が必要だったと考えられる。
【企業経営理論】
難易度や出題範囲に大きな変化はなかったと考えられる。しかし、簡単に60点を確保できるような出題ではなかった。問題文の長文化の傾向も相変わらずであるため、読み取りに時間がかかる問題は後回しにするなどの工夫が必要であった。ただ、長文問題は決して難易度は高くないことが多い。そのため、タイムマネジメントをしっかり行うことで確実に対応してほしい。
各分野では、例年通りマーケティング分野は取り組みやすかったのではないだろうか。また、戦略分野も標準的な出題が多かった。その一方で組織分野は難易度が高かった。労働法規を筆頭に、その他の問題も、深い考察が要求される問題が続いた。
【運営管理】
初日の4科目の中では、一番取り組みやすかったのではないだろうか。難易度や出題範囲に大きな変化はなかったと考えられる。ただし、簡単に60点を確保できるような出題ではなかった。繰り返し問われる問題も多く、過去問をしっかり分析していた受験生は対応できたと考える。
生産管理は、やはり店舗管理よりは難易度が高いがそれでも標準的な出題が多かった。初見では難易度が高くなるように出題者の工夫の意図もみられるが、基本知識を活用して、確実に対応していきたい。
【経営法務】
全般的には、難易度が低下し、7科目の中では比較的対応しやすかった受験生も多かったのではないだろうか。
金融商品取引法や市場関連も含めた会社法関連から12問、知的財産権法から7問、となっており、まずは、この二つの分野で確実に得点できるように学習を進める必要があった。特に本年は、知的財産権法分野では比較的基本的な出題がされており、基本知識をしっかり充当しておいてほしい。また、会社法分野も設立から、各機関の内容、M&Aといった分野からバランスよく出題されていた。
【経営情報システム】
昨年に引き続き、比較的受験生にとっては取り組みやすい出題であった。出題の形式は、問題文が長文化したり、事例ベースの出題があったりと見た目の部分での変化は、あったかもしれないが、内容面では基本的な分野からの出題が目立った。
ハードウェアやソフトウェアは基本的な出題であり、ネットワークやデータベースでは知識より、活用方法が多く問われている。また、システム開発分野では、開発の中身自体より、システムを企画するような出題範囲が増加している。最後の方に出題されるガイドラインや法律、統計学は、例年通り難易度が高く、対応は困難であった。
【中小企業経営・政策】
最後の7科目目であるが、1次試験全体の勝敗を分けた科目になったのではないだろうか。難易度は2日目の試験の中では最も高かった。
中小企業経営分野では、白書からの出題が多く、本文から出題されていた基本的なデータ統計問題は対応しやすかったと思われるが、付属統計資料からの出題では細かな論点が問われていた。中小企業政策分野では、目新しい政策が多く出題され、難易度は高かった。
今年は、中小企業庁の「中小企業施策利用ガイドブック」の発刊が遅かったため、学習の対応は困難であったが、結果的には、ガイドブックからの出題はやはり多く、来年以降も学習ツールとして確認することは必要であろう。
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